解説
課題2①の解き方 — リレーの点検手順と不良の見分け方
測る順番を決めておけば、不良の切り分けは迷いにくくなる。
課題2①の点検とは、渡されたリレーやタイマを回路計(テスタ)で測り、良品か、どの不良かを判定して答える作業である。 ここで速さと正確さを生むのは知識量ではなく、測る順番を毎回同じにする「型」である。 接点やコイルの原理そのものは 第8章 リレーの点検で扱っているので、この記事は手順と判断だけに絞る。
以下の型はa接点とb接点が1組ずつのリレーを前提にしている。 接点の組が複数あるリレーでは組の数だけ測定が増える。 タイマは、設定時間の経過後に動く限時接点を別に確かめる必要があるので、 第6章 タイマとオンディレーも合わせて読んでほしい。
なぜ測る順番を固定するのか?
順番を固定すると、測り漏れと迷いが減るからである。 その場で「次はどこを測ろうか」と考えると、測った場所と測っていない場所が混ざり、同じ端子を二度測って時間を失う。
型が決まっていれば、本番でやることは「決めた順に測り、読み値を判定に当てる」に近づく。 考える対象が手順から判定へ移るので、迷いが減る。
どの順番で測るのか?
順番は「無励磁でコイル → a接点 → b接点、次に励磁して同じ順」で固定する。 a接点・b接点が1組ずつのリレーなら、読みは全部で5つになる。
- 無励磁のまま、コイル端子間の抵抗を測る。
- 無励磁のまま、a接点の導通を測る。
- 無励磁のまま、b接点の導通を測る。
- コイルを励磁した状態で、a接点の導通をもう一度測る。
- 励磁したまま、b接点の導通をもう一度測る。
この5つがそろえば、上の前提のリレーについては判定の材料が出そろう。 逆に、どれか1つでも欠けると判定できない組み合わせが残りやすい。 接点の組が多いリレーやタイマでは、同じ型を組ごと・限時接点ごとに繰り返す。
コイルを最初に測るのはなぜか?
コイルが断線していると励磁しても接点が動かず、接点だけを見ると接点側の不良に見えてしまうからである。 コイルを先に測っておけば、接点が反転しない理由をコイルの読み値で先に説明できる。
測定結果から、どう不良を切り分けるのか?
先にコイルの読みを見て、∞ならコイルの断線を優先する。 コイルの読みが正常なら、接点は「無励磁 → 励磁」の変化で切り分ける。
コイル端子間の読みは、何を意味するのか?
∞なら断線、定格より明らかに低ければレアショートを意味する。読みごとの次の一手は次のとおり。
| コイル端子間の読み | 判定 | 次の行動 |
|---|---|---|
| 定格どおりの抵抗値 | コイルは正常 | 接点の測定へ進む |
| ∞(不導通) | コイルの断線 | 接点の読みで判定を上書きしない |
| 定格より明らかに低い | コイルのレアショート | 接点の反転が正常でも、コイルの読みを優先して答える |
接点の読みは、何を意味するのか?
無励磁と励磁で読みが反転すれば正常、反転しなければその接点側の不良を意味する。 どの読みがどの不良に当たるかの対応表は 第8章 リレーの点検にまとめてあるので、ここでは読み値ごとの次の一手だけを挙げる。
- a接点が開 → 導通、b接点が導通 → 開: 正常な反転である。5つ測り切っていれば、そのまま判定を確定する。
- 反転しない接点が1つある: プローブの当たりと励磁のかかり方を一度だけ確かめ、同じ読みが出たら第8章の表に当てて不良名を確定する。
- a接点もb接点も反転しない: まず疑うのはコイル側である。コイルの読みに戻って確認する。
コイルの読みが∞だったときは、接点の変化から不良名を決めない。 接点が反転しないのはコイルが原因なので、判定はコイルの断線になる。判断はコイルの読みが優先する。
良品だったときは、どう答えるのか?
「不良なし」も答えの一つである。5つの読みがすべて正常側に収まったら、そのまま良品と判定する。 不良が必ずあるはずだと思い込むと、正常な反転を「怪しい」と読み替えてしまい、時間も正答も失う。
練習の段階から良品を混ぜて出題し、「不良なし」と答える経験を積んでおくと、この思い込みは薄れていく。
本番ではどう段取りするか?
実技試験は110分で2課題である。 課題ごとの時間の区切り方について本サイトでは断定しないが、点検そのものは 型どおりに測って読み値をその場で控え、迷ったら先へ進むほうが速い。
採点は減点法で、41点以上の減点がなければ合格という方式である。 確信が持てなくても、読み値を判定に当てた結論を書き切るほうがよい。 時間の扱いや記入の要領など、当日の細かい扱いは 公式の受検案内で確認してほしい。
よくある失敗
- 途中で判定を決めてしまう: 5点を測り切る前に結論を出すと、残りの読みを結論に合わせて読んでしまう。判定は最後にまとめて出す。
- 接点から測り始める: コイル断線を接点側の不良と取り違えるもとになりやすい。順番はコイルが先。
- 毎回違う順番で測る: どこを測っていないかが分からなくなり、測り直しで時間を失う。
- 良品を候補から外す: 不良前提で読むと、正常な反転まで不良に読み替えてしまう。
- 励磁のさせ方を本番で考える: プローブを当てたまま励磁する手の使い方は、練習のうちに決めておく。
型は覚えるものではなく、手が覚えるものである。同じ順番で数をこなすほど、読み値から判定までが短くなる。
読んだら、手を動かす
実技は読むだけでは身につかない。同じ手順を、ブラウザの練習盤でそのまま試せる。